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みなさん、こんにちは!

私生活で最近は忙しくしていたため、ブログ更新が長らくできていませんでしたが、落ち着いたので復帰です!

以前にNotionというツールを活用した論文向けの蔵書管理法をご紹介しましたが、本日は…

英語で論文執筆ツールとしてのGrammarly

の紹介とレビューをします!

結論から言いますと、Grammarlyは「基本的にはオススメ」しますが、学術的な内容を校正するには限定的な部分があるので注意が必要と考えます。

詳細については、メリットとデメリットに分けてお伝えします!

※本ページはプロモーションが含まれています

1. Grammarlyとは

アメリカのシリコンバレーに本社を置く企業によって提供されている、AIや自然言語処理を活用したハイテクな英文校正ツールです。

文法チェック・綴りチェック・適切な語彙選択・言い換え提案・剽窃チェックなど様々な機能を搭載しており、2009年の初版リリースから成長を遂げてきたサービスです。

個人的にも、職業上英語に接することが多いので、長年愛用しているツールです。

後述しますが、基本的なチェックのできる無料版と高度な提案をしてくれる有料版があります。

また、デスクトップ版ではGoogle ChromeなどのブラウザーやWordなどの文書作成ソフトにも追加できますし、アプリ版もあります。

2. 論文執筆におけるGrammarlyのメリット

英文法の本 Grammar

まずは、Grammarlyのメリットからご紹介します!

簡潔に言うと…

という3点がメリットになります!

 正しい冠詞や可算名詞・不可算名詞を提案

まず、こちらが個人的にGrammarlyを推す最大の理由です!

英語講師として日本語を母国語とする生徒の英作文などの添削や校正を行うことが日常ですが、冠詞や可算名詞・不可算名詞は一番多いミスと言っても過言ではないです。

実際に、日本語と英語では概念が異なるので仕方ないですよね。

しかし、「ここには冠詞が必要」「これは不可算名詞だから冠詞は不要」などと瞬時に教えてくれるので、大半のミスはGrammarlyで解決できます!

一方で、後述しますが、Grammarlyは人間ではなくAIが文脈を判断するので、aとtheの違いの判別などに限界はあります。

 簡潔さを意識した内容を提案

英語の言語の特質だけではなく、学術的な論文では特に簡潔性を重視されます。

Grammarlyは「無駄」を省くことが得意です。

例えば、口語では普通に使う”Despite the fact that…”を入力してみましょう。

論文執筆向けGrammarly解説

このフレーズは冗長と判断し、より簡潔”Even though”や”Although”へ修正を訂正してくれます。

また、フレーズ単位だけでなく、わかりやすくするために長い文章は2つに分けるなどの提案もしてくれます。

論文執筆向けGrammarly解説

先述したとおり、AIは完璧ではないですが、「どのように書けば読みやすいか」というデータを蓄積しているだけに、大抵は的確な指摘をしてくれると感じています。

したがって、論文執筆には非常に役立つポテンシャルを持っていると判断します。

 「タイプミスの空白」を認識 

英文を書いていると、英単語の間にスペースを入れますが、誤って1つ以上空白を入力してしまうことは誰だってありますよね。

個人的にも、論文ではないですが、重要な文章を提出した後に、「あ…」と気づいたことは多々あります。

調べるまであまり意識して来なかったですが、Google DocsやWordだと、そのスペースを正確に拾ってくれないんですよね。

今回もテストしましたが、結果として優等生はGrammarlyでした。


まずは、Grammarlyのチェック結果。拾ってくれますね。

論文執筆向けGrammarly解説

次に、Word。拾ってくれません。

論文執筆向けGrammarly解説

そして、Google Docs。認識しないですね。

論文執筆向けGrammarly解説

補足ですが、Wordはこのような本来あってはならない場所にある二重スペースを認識していた記憶はあります。

個人的な使い方の問題かもしれないですので、その点はご了承いただきたいですが、いずれにしても設定を気にすることなく即座にチェックしてくれるGrammarlyに軍配が上がります。

3. 論文執筆におけるGrammarlyのデメリット

英単語

先述したように、たくさん良さもあるGrammarlyですが、個人的に考えるデメリットとして…

の3点が挙げられます。

 安くない

お金の話なので個々の価値観によりますが、プレミアムアカウントは月額12米ドル、そしてビジネスアカウントは12.50米ドルなので、決して安くはないと考えます。(2021年8月18日時点)

研究を仕事として論文執筆する方ならまだしも、学生は躊躇する価格帯かもしれませんね。

なので、まずは無料版からお試しすることをお勧めします。

以前の記事でも書きましたが、基本的なスペルや文法チェックであれば、無料版でも使えます。

しかし、高度な校正(高度な英文チェック以外にも、剽窃チェックも含め)は有料版のみの対応なので、無料版を試した後に、ニーズに合わせて購入を検討されてもいいと思います。

 受動態に対してうるさい

論文のような学術的な英語では、受動態を避けるべきと一般的に言われていますが、Grammarlyは「かなりうるさい」と考えます。

設定を少しいじれば、厳しさの程度の変更も可能ですが、とにかく受動態があるごとに変えるように提案してくる印象です。

もちろん、以下の理由で、一般的には能動態が好ましいと考えられる背景はわかります。

しかし、客観性を出すためには受動態は避けられないこともあります(特に科学的な内容)。


例えば、何かの実験と分析を行い、仮説を検証した文脈で書いた以下の導入文を比べてみましょう。

1. An experiment and analysis were performed to test the hypothesis.

2. I performed an experiment and analysis to test the hypothesis.

下記のようにGrammarlyでも指摘されていますが、学術的な論文では”I”は使わないとされています。

なので、受動態で書かざるを得ず、個人的には前者の方が「正しい」文章と考えます。

論文執筆向けGrammarly解説

それでも、Grammarlyは、書き換え内容の提案なしに、前者で使われている受動態を指摘してきます。(※有料版では設定を色々変えることができ、ここではAcademic Writingの設定に変更しました。)

なので、どう書けばいいかわからず混乱を招く可能性があります。

これはAIの限界で、「この文脈では受動態は大丈夫」と皆さんの判断を介さないといけないという意味で、論文執筆の観点では完璧には程遠いと感じます。

 文脈理解に限界がある

最後に、冠詞や可算名詞・不可算名詞の部分でも指摘しましたが、文脈理解の技術が発達したGrammarlyでも、学術的な内容になると限界があります。

例えば、”agency”という単語にはたくさんの使い方があります。

通常の意味では、不動産などの「代理」や「仲介」を指します。

しかし、社会科学や人文科学などの学術の世界では、”human agency”のように「変化をもたらす力・作用・働き」といった意味でよく使われます。

代理店という有形のものだけでなく、このように数えることができない概念を指すこともあるagencyという単語ですが、この場合は不可算名詞で使います。

この文脈による単語の使い方の違いをGrammarlyでは上手く認識してくれません。

それでは、Grammarlyを使った具体例をお見せしましょう。

例えば、”agency”の異なる概念について書くことにした場合、以下を文頭に書きます。

In this paper, different concepts of agency will be discussed. In sociology, agency is defined as the capacity to…

論文執筆向けGrammarly解説

上記のように、Grammarlyは”agency”を代理店のような個体(=可算名詞)として捉え、文脈的におかしいのですが、冠詞を入れるように指摘してきます。

このように、文脈を理解して提案をしてくれるGrammarlyでも、論文執筆などの高度な文章には対応の限界があるということを認識することも大切です。

最後に

いかがでしたか?本日は、英語で論文執筆の観点でGrammarlyという校正ツールのメリットとデメリットをご紹介しました!

一部限定的であると感じる一方、基本的な英文チェックにはかなり使えるツールだと考えます。

今後も更にコンテンツを追加して充実させていきたいと思いますが、皆さんがその他実践されているツール活用法や、記事の内容や無料テンプレートのリクエストがあれば、是非コメントやお問い合わせください。


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