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本日はハーバードの大学院での経験をもとに、英語の論文の読み方のコツを解説します!

私は教育学が専門の文系なので、社会科学系の文献を読むことが多いですが、自然科学などの理系の論文の読み方にも共通する部分がありますので、多くの方の参考になればと思います。

修士課程に加え、博士課程の出願でも英語でたくさん論文を読んできましたので、その経験を糧に、本日は5つのコツをご紹介します!

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1. 英語で論文を読む = consume

英語の論文

いきなりですが、見出しを見て「?」と思う方も多いかもしれません。

現在でも印象深く残っているのですが、ハーバード教育大学院では…

「修士課程の学生は、まずは“consumer of research”になること!」

という表現を多く耳にしました。

“consume”というのは消費という意味ですが、摂取・吸収するという意味合いもありますね。

対して、「執筆」の意味合いでの”producer”があります。

つまり、学術的な世界では、大量の情報をただ単に受け身に読むのではありません。

アクティブかつ戦略的にアプローチをかける必要があると解釈して、日々論文を読む際に意識していました。

2. 英語の論文の読み方の5つのコツ

英語の論文

さて、ここからは、本題である英語の論文の読み方に関する5つのコツに移ります。

要約すると、以下の通りです。

それでは、それぞれ解説していきます!

 1. 初めから順番通りに一回だけ読むとは限らない

衝撃かもしれませんが、ハーバードのクラスメートで、与えられたリーディング課題を、全て端から端まで読む人は皆無だったと記憶しています。

どういうことかと言いますと、重要なポイントをまず掴み、その後に深く読むか判断ということです。

そこで、戦略的に優先順位を意識した上で、読む順番回数の目安を解説します。

a. まず読むべき箇所と順番

当然、個人各自の読み方に若干差異はありますが、結論から言うと、以下の順番で読むことをお勧めします。

概要 (Abstract)

導入 (Introduction)

結論・考察(Conclusion/Discussion)

理由としては、この論文の意義は何かを掴むことが優先順位が高いからです。

そのためにも、この3つのセクションを押さえれば、「自分の研究に関連しているか(これ以上読む価値があるか)」という判断が下すことができることが多いです。

なので、この段階でわからない英単語や用語があれば、調べるようにしてください。

英単語や用語を勘違いして読み進め、理解の大前提が違っていれば大変なことになるので、ここは面倒がらずに調べた方が賢明です。

b. 次に読むべき箇所と順番

次に、論文の内容に意義を感じたら、次は「どうしてその結論に至ったのか」を調べる段階です。

逆にいうと、上記aの段階を経て、あまり自分の興味関心に関連性がなければ、そこまでする必要がないです。

ここからは個人差が出る順番ですし、文系と理系などの分野によって事情は異なることもありますが、個人的には以下の順番で読みます。

結果(Results)

分析方法(Methodology)
※ここに理論(Theory)や枠組み(Framework)が入ってくることもあり

References(参考文献)

解説をしますと、まずは「どうしてこの結論になったのか」「分析方法や解釈に問題はないか」と言う観点で、結果の詳細にあたるResultsとMethodologyを読みます。

そして、引用元の文脈とのズレがないか厳しく考察したり、もっと関連した論文に目を通したい場合は、参考文献に目を通します。

c. 読むべき回数は1回ではない

最後に、読む回数です。

決まった回数はないですが、自分の研究に関連性があり、興味を持った論文については、一回だけ読んで終わりということはないと思います。

特に外国語で読むときは、しっかりと内容を消化するためには、以下のように最低でも2回は必要と考えます。

その読み方の概要は、以下の通りです。

「スピード重視」の一回目

●結論は何かを最優先に読む
●その結論は自分の研究にどう関連しているかを考える
●キーワードは何かを考え、意味がわからなければスルーせずに調べる

「しっかり読み込む」二回目

●細かい英単語や用語の意味も調べる
●更なるリサーチのためにReferencesを意識する
●Results・Methodologyに問題がないか考察する

なお、一回目でどれだけノートを取っても、引用の際には文脈チェックなども必要になってくるので、そういった意味でも二回以上読むこともたくさんあります。

 2. 1〜5分程度でもいいので、休憩

初めに、会食の場で一気にご飯を食べる状況をイメージしてみましょう。

ご飯は美味しいですが、お腹が膨れてきました。

どれだけ食べたくても、途中で休憩したくなることもありますよね。


冒頭でも紹介した「consume」という英単語の例えが、ここでも生きてきますが、英語での論文の読み方においても同じです。

このブログの読者の多くが、英語を第二言語として使っている方だと思います。

そのような皆さんにとって、母国語でもお腹いっぱいになるような内容を、第二言語で処理するなんて大変に決まっています!

そこで、読んでいる途中で疲れてきたら無理せずに、1〜5分程度の小休憩を入れてください。

そして、必要に応じて、それ以上休んでもいいです。

この小休憩を「論文の関連性は何か」と改めて考えたり、ノートをちょっと整理する時間に当てたらいいのです!

 3. ノート取りの「システム」を極める

小休憩中もそうですが、読み方と同じぐらい重要なのが、ノート取りです。

見出しを「システム」と題した理由は、ノート取りにシステマチックな「ルール」がない状態だと、後から見返しの効率が悪くなるからです。

当然ながら、英語に限ったことではないですが、多くの人にとって母国語でない言語を処理するからこそ戦略が必要です。

a. マーキングのルール

まず、大前提として解説するまでもないですが、印の付け方は、後から見返した時にわかりやすくするために重要ですね。

例えば、引用したい文章は黄色にし、後で調べるべき英単語・用語は赤色にするなどです。

また、英語でノートを取るか、日本語でノートを取るかもある程度統一した方が、後で見返す際に楽になります。(特に後述するキーワード検索を行うとき!)

※論文目的で使う英語でのスペルや文法が不安な方は、Grammarlyの使い方を解説した記事をご参照ください。

b. ノート取りのルール

また、こちらも解説するまでもないですが、論文を読んでノートを横に書いて終わり…ではダメですね!

先述した小休憩の間もそうですが、読み終わった後に5分でもいいので、振り返りの時間を必ず確保してください。

そして、その時間を使って、あらかじめ決めたノートの雛形に落とし込んでいきましょう。

例えば、以下のような要素は必要となってくるでしょう。

このように、予めノートの雛形を作っておくと、見返しが楽になるだけではありません。

もう1つのメリットは、わからない英文法や英単語に出くわして気が散りやすい英語の論文でもブレることなく、重要なポイントを押さえることができるようになります!

c. 格納先のルール

さて、こちらも英語に限ったことではないですが、ノートがどこにあるかわからなければ、本末転倒ですね!

私はNotionというツールを用いて、論文や蔵書のノート管理を行っておりますが、電子であれ紙であれ、フォルダーを整理するルールはしっかり決めておきましょう。

どこに保存したか忘れて探す時間ほど勿体無いことはないです!

d. 見返すルール

また、当たり前の発言からです。

人間忘れるものです。

そして、読んだ論文をもとに自分の論文の執筆活動を行っていても、必ずアイディアは行き詰まるものです。

だからこそ、せっかく取ったノートを簡単にでも見返す習慣を普段からつけておくと、将来的に楽になります。

この習慣を形成するにあたり重要なのが、「間隔反復」「忘却曲線」となります。

※これらの概念については、別途記事を以前に書いていますので、そちらご参照ください。

 4. できれば電子版で管理

こちらも英語に限ったことではないですが、母国語でない言語を処理するからこそ、電子化をお勧めします。

PDFなどで読むのは当たり前になってきた世界ですが、印刷した方が読みやすい人もいます。

私もそうですが、電子で管理することを極力心がけていました。(今でもそうです。)

具体的は理由を述べると、以下が出来るようになるからです。

a. キーワード検索

しっかり文字認識さえ出来るようにしておけば、文書内だけでなく、フォルダー全体などでも後でキーワード検索が楽になりますね。

特に、母国語以外の筆者名などを思い起こすときは、「internationalizationというキーワードがあったけど、筆者の名前は何だったけ…」と、英単語レベルの記憶が限界かもしれません。

そのような時に、紙のノートだと見つけるのは大変かもしれませんが、電子版だとキーワード検索でサクッと行えますね。

私も同じ状況で、至って単純なキーワード検索に何度も救われました!

b. わからない英単語を調べるのが簡単

これは、解説は特に不要ですが、iPadやiPhoneなどであれば、2クリックで英単語の定義を調べられますね!

c. ノート整理の可能性が広がるから(余談)

最後に、英語の論文だけに限ったことではない一般論の「余談」です。

紙派か電子派か意見が分かれるところですが、紙の方がノート取りが簡単と個人的には思います。

個人的には、iPad Pro 11の愛用者ですが、以下のようなツールを利用してスクリーンをどれだけ紙のように工夫しても、何か書き心地に物足りなさがあります。


 


しかし、電子版にこだわる理由は、テクノロジーによってノート取りの電子化は今後更に進むだろうと考えるからです。

例えば、ハイライトした箇所をデータとして自動的に溜め込むことができるサービスが近年拡大しています(例:readwiseLINER)。

ハイライトを自動的に書き出し、自動的に一元管理できることによって、見返しがどれだけ楽になるか…書き心地だけでは正当化できません。

当然、手書きの紙ノートをスキャンして、電子化する方法もたくさんありますが、その手間を考えても、やはり「基本的には電子派」です。

 5. 翻訳ツールに頼ることも躊躇しない

また当たり前発言ですが…英語で書いた論文であれば、原文を読むことに越したことはないです。

ただし、時間がない、英語で読んだ内容理解が不確かなどの場合は、テクノロジーを活用することも躊躇するべきではないと考えます。(※所属機関より何かしらの理由で禁止などされていなければですが。)

例えば、精度は100%とは言えませんが、DeepL翻訳Google翻訳にかければ、大意を取るという目的は達成できると思います。(個人的にはDeepL翻訳の精度が高いと考えます。)

そして、時間のある時に、英語学習の観点でもう一度読めばいいのです!

慣れている人でも、第二言語で論文を読むというのは相当な労力がかかる行為なので、あまり自分に厳しくなりすぎないことも重要でしょうね!

最後に

いかがでしたか?本日は、英語での論文の読み方の5つのコツをご紹介しました!

もう一度おさらいをすると…

の5つですね!

今後も更にコンテンツを追加して充実させていきたいと思いますが、皆さんがその他実践されている英語での論文の読み方や、記事の内容のリクエストがあれば、是非コメントやお問い合わせください。


このようなちょっとした工夫でも成長につながるということを信念に、みなさんの1日1%の成長(=当ブログでいう”成功”)をサポートしていきたいと思います。

そのためにも、英語講師やコーチングの経験をもとに、学習にまつわる生産性や効率性、また具体的なツールなどをテーマに定期的に情報配信していきます。

Happy Learning!