本日は英語学習コーチやコンサルタントになるためには、どういった資質が求められるかについてお話します!
オンラインや対面式など、様々な形式で近年人気が高まりつつあるサービスですが、求人を見ていても「未経験者でもOK」だったり、TOEICなどの資格以外に、求められる資質がわかりにくいと感じます。
私は、ここ約3年間、英語学習コーチとして数多くの学習者を担当してきました。
その経験をもとに、コーチやコンサルタントとして求められている資質を中心に、知っておくべきこと10つをご紹介いたします。
皆さんの今後のキャリア選択や、採用面接の準備などにお役立ちできればと思います!
- 1. 英語に興味や知識があるだけではNG
- 2. 英語だけでなく「習慣」を理解し、興味を持つ
- 3. 英語そのものよりも、英語を使った自己実現に興味を持つ
- 4. 英語学習に苦労した経験の薄い人はNG
- 5. 気難しい学習者に接することができる
- 6. 分析力を備えておく
- 7. 学習者でもあり、お客様でもあると認識する
- 8. はっきりと物事を言えない人はNG
- 9. ロジックだけではなく、感情レベルでも寄り添える
- 10. 学習者は大人が大半で、子供は教えることがほとんどない
※なお、当記事で紹介するのは、あくまでも私が携わっている英語コーチングサービスでの経験に基づくものです。各社が提供するサービスは異なりますし、求められているものが違うことがある可能性はご了承ください。
1. 資格などの応募条件(ハード面)

まず、10箇条に移る前に、英語学習コーチやコンサルタントになるために求められている「資格」についてお話します。
「ハード面」と表記したのは、資質などとは異なり、資格や履歴書で証明できるものだからです。
英語力の資格
2021年6月時点で、ネットなどで閲覧可能な求人を見る限り、
TOEIC(R)テスト800点
を目安としているところが多いです。
しかし、一部の求人では700点であったり、850点以上としていたり、バラつきはあります。
点数について私見ですが、点数が850点ほど高くなくても、英語コーチやコンサルタントはできると考えております。(ただし、立場上、自分のスコアを上回る人をコーチングすることは避けるべきと考えます。)
逆に、「私のように英語講師もやっていて、TOEIC満点です」って人が必ず向いているとは限りません。
実際に、TOEICの点数が高いコーチほど、高い成果を出しているという相関関係は弱いと思います。(理由は10箇条にて、詳しく説明します。)
その他の資格
英語学習コーチやコンサルタントだからといって、英語指導経験が求められているわけでもないです。
例えば、英語の資格以外の応募条件は各社によりますが、以下がキーワードとして浮かんできました。
「未経験者」
「営業経験」
「接客経験」
「留学経験」
「営業?」「接客?」と思われる方も多いかもしれないですが、関連性は確かにあると思います。
詳しくは、以下で解説します。
2. 英語コーチやコンサルタントになるための10箇条(ソフト面)

それでは、本題の10箇条のご紹介です。
先述した資格や経験などの「ハード面」に対し、こちらは資質に関わる「ソフト面」と定義しています。
言い換えると、求人ではあまりわからない、面接などで見られる部分と考えます。
1. 英語に興味や知識があるだけではNG
コーチやコンサルタントは「講師」ではないので、英語が好きで知識が豊富であっても、必ずしも成功するとは限りません。
実際に、サービスによっては、ティーチング(教えること)とコーチング(引き出すこと)を明確に分けております。
この点が、コーチング開始当初の1番のギャップでした。
私はどちらかというと、ティーチングの経験があるので、英単語や英文法を教えたり、細かい点を調べたりすることが好きでした。
しかし、コーチやコンサルタントは、各学習者の状況に応じて学習方法を提案し、しっかり進捗管理しながら、「付き添う」とイメージするとわかりやすいでしょうか。
英語の習熟度を高めるという共通のゴールがあっても、以下のように焦点が若干違うと理解しています。
英語講師:英語の知識伝授
英語学習コーチやコンサルタント:英語の学習管理
2. 英語だけでなく「習慣」を理解し、興味を持つ
当ブログでは、現役の英語学習コーチや英語講師として、習慣の重要性について記事を書いてきました。
というのも、習慣は…
コーチングの大前提
だからです。
そもそも、英語学習以前の問題として、学習者が学習を継続的にできなければ、コーチやコンサルタントの使命は果たせたと言えません。
実際に、独学に限界を感じて、コーチングやコンサルティングというサービスを利用する方が大多数なので、
「習慣化は気合いでいけるでしょ」
「習慣なんて困ったことない」
「三日坊主になったことがない」
って人は、向いていないと思います。
逆に、ティーチングをする英語講師だと、学習習慣の管理に及ぶサポートをしない場合が多いと、経験上考えます。
3. 英語そのものよりも、英語を使った自己実現に興味を持つ
上記1つ目のアドバイスと関連していますが、コーチやコンサルタントは、英語を教えることよりも、
学習者が英語学習を通じて、目標達成したり、キャリアアップするなどの自己実現に喜びを感じる人
に向いていると感じています。
英語講師の場合にも同じことが言えますが、コーチングやコンサルティングの方が、目標管理や成果を生み出すことに重きを置く印象です。
実際に、私自身が英語講師として、成果を問われることはほとんどないです。
一方で、コーチとしては、自己実現にどれだけ貢献できたか(そして、その自己実現に必要な点数アップをどれだけできたか)がベンチマークとなります。
私見ですが、コーチングやコンサルティングを利用する方は、社会人の方が圧倒的に多いというのが一つの理由だと思います。
言い換えると、何かしらの明確な目標意識を持って学習をして、場合によっては短期間で成果を求められる学習者層が多いです。
よって、このようなニーズに応じる性質のサービスが発展しているのだと思います。
4. 英語学習に苦労した経験の薄い人はNG
冒頭の資格の部分でも、
「コーチの英語力の高さ≠コーチングの質の高さ」
と前置きをしました。
実際に、英語を自然に話して育ってきた人よりも、地道な英単語の学習やシャドーイングをしっかりこなして、試行錯誤しながら成果を出した人の方が、学習者に提供できる価値が高い場合が多いと考えます。
単純な理由としては、
英語学習の苦しみを理解でき、寄り添える
からです。
コーチングやコンサルティングといったサービスを求める学習者層は、「英語がわからない」という悩みだけではなく、「今までやってきたけど、挫折」という方が多いと思います。
以前の記事でも書いたように、習慣化は簡単なことではありません。
また、英語力アップのためには、筋トレと同じように、負荷のかかるトレーニングをコツコツと繰り返すことが求められ、日々の学習が辛いです。
その辛い経験に共感し、自身の経験も交えながら「一緒に乗り越えていきましょう!」と寄り添えるコーチやコンサルタントの方が、学習者には適していると思います。
5. 気難しい学習者に接することができる
一般論として、どのような仕事にも言えることです。
しかし、悩みを持った学習者の個別対応を想定しているコーチングやコンサルティングというサービスは尚更だと思います。
私の経験上、必ずといっていいほど、10人に1人は「難しい人」がいます。
例えば、
●何を言っても、反応がない人
●提案しても、自己流を貫く人
●とにかく要求の多い人
●プライドが高く、指摘をされると感情的になる人
などです。
割合で言うと少ないですが、このような学習者にも対応できる包容力も、英語学習のコーチやコンサルタントになるためには求められると考えます。
やはり、英語力だけでは絶対に務まらない仕事ですね!
6. 分析力を備えておく
コーチングやコンサルティングになるためには、「分析力」は職業柄必ず求められます。
例えば、私の場合は、
●学習時間の推移
●点数の推移
●模試結果(例:正誤に基づく弱点の分析)
などのデータに基づいたアドバイスをすることが多いです。
しかし、上記のような数値化できるデータの分析だけでなく、学習者のニーズを引き出す分析力も求められます。
例えば、
「英語学習を開始しましたが、3ヶ月で挫折しました…」
という学習者を担当することになれば、
●一番肝心な「英語学習を開始するようになった動機」は何か。
→ 単なる昇進のためのような外在的な動機か、英語や勉強が好きという内発的な動機か、もしくはそれらの組み合わせか。
●3ヶ月は継続できたのであれば、「短期集中型」の人かもしれない。
→ 受験時代や普段の仕事を振り返り、どのようなスパンで最高のパフォーマンスが出してきたか。
などをその場で分析し、会話を展開します。
それぞれのサービスでマニュアルはあると思いますが、このような分析力がないと、コーチングやコンサルティングをしていても辛いと思います。
7. 学習者でもあり、お客様でもあると認識する
冒頭の応募資格のところで、「営業経験」が入っている求人がありましたが、コーチやコンサルタントになるための経験としては、納得です。
明らかな理由としては、サービスに対する対価を払ってるという点です。
また、営業職のように「追いかけ」をすることもあるからです。
具体的には、学習報告を怠る人や中断して音信不通になった人などです。
基本的に、英語講師だとこのような業務は発生しないですが、「コーチやコンサルタントの使命」と先述したように、学習者が英語学習を継続できるようになるため、追っかけることもあります。
講師視点でコーチングに挑んでいた当初は、
「学習しないのは自己責任じゃないの?」
と感じることも正直ありました。
しかし、それでは務まりません。
適宜追っかけをして、「お客様」でもある学習者をいかにしてエンゲージし続けるか
というのも、英語学習のコーチやコンサルタントの仕事なのです。
8. はっきりと物事を言えない人はNG
喝をいれる必要があるけど、どのように接するべきか迷うことは必ずあります。
先述したように学習者でもあり、お客様でもあるので、「匙加減」が難しいです。
基本的には、「できるようになったところ」「成長したところ」を言及した上で、「改善点」を伝えるようにしています。
そして、単刀直入に厳しい言葉を投げかけることが求められる場面もあります。
例えば…
「400点の人が900点を3ヶ月で伸ばすのは、至難の業です。目標を見直しましょう。」
「忙しいとは言っても、隙間時間5分もないような状況ですか?」
「勉強量が圧倒的に足りていないです。試験後で、少し気が緩んでいませんか。」
のような具合です。
表現の方法は別として、刺さるような言葉ですね。
当然、各学習者の性格などを鑑みて言葉を選びますが、このように刺さる言葉を使うことが必要です。
在宅で出来るオンライン形式のコーチングやコンサルティングだと、対面ではない分、言葉が更に重要になります。
したがって、はっきりと物申すことが苦手な人は、コーチングやコンサルティングが辛いと感じる場面があるかと思います。
9. ロジックだけではなく、感情レベルでも寄り添える
上記6つ目のアドバイスでは、「分析力」が必要とお話しました。
しかし、分析に基づくアドバイスだけではダメだと感じる場面があります。
もちろん、各学習者の性格などによりますが、論理的なアドバイスに頼りすぎると、関係構築に苦労することがあると感じることがあります。
例えば、TOEICのスコアが伸びずに気持ちが落ちている人に対して、
「学習時間が足りていない」
などのごもっとも指摘をしても、逆効果です。
したがって、まずは、
「その気持ちわかります。」
「辛くてやめたくなりますよね。私も同じ経験があり、3ヶ月学習ストップしたこともありました。」
など、感情レベルで寄り添いをすることが求められます。
また、喜びを分かち合う時も、同じです。
大袈裟ぐらいに喜んであげることも、仕事の1つだと感じる場面があります。
正直に申し上げますと、私はそういう接し方が苦手です。
しかし、経験を積み重ねる中で、自然とできるようになってきました。
このように、学習者と良好な関係を築くためには、感情レベルで寄り添うスキルは、コーチやコンサルタントになるためには必要だと考えます。
10. 学習者は大人が大半で、子供は教えることがほとんどない
上記3つ目のアドバイスで先述しましたが、英語学習コーチングやコンサルティングの対象は、ほとんどが大人です。(将来的に子供向けサービスが誕生するかもしれませんが、現在の業界はそうなっています。)
実際に、コーチングの大手であるプログリット社は「受講者の94%はビジネスパーソン」というデータを明かしています。
なので、子供が好きで英語を教えたい方には、残念ながらコーチングやコンサルティングは向いておりません。
子供を対象に英語指導経験がある方は、求人に応募するときに、この点は留意するといいでしょう。
とはいえ、担当する年齢層が違えども、先述した「飴と鞭の使い分け」や「寄り添い」などは通づる部分があります。
なので、その点をアピールポイントとして意識するのもいいでしょう!