本日は、大学生の皆さまにTOEICの勉強法について解説します。
英語講師およびコーチとしてTOEICの指導をしてきましたが、TOEICに関しては記念すべき初投稿となります!
当記事では、以下の3点をお伝えします。
- 1. どうしてTOEICは大学生にとって難しいのか
- 2. TOEIC対策の重要なポイント
- 3. 点数に応じた勉強法
今は400点しかなくてこれから頑張ろうという大学生や、700点までは得点アップできたが今後は800〜900点獲得を志す大学生など、幅広く参考になればと思います!
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1. どうして大学生はTOEICに苦労するか
さて、TOEICは英語の試験として日本ではよく使われ、高校生でも受験するようになってきました。
しかし、大学入学共通テスト(旧センター試験)が満点の学生でも、TOEICの満点は取れないと想定して挑むべきです。
試験としての難易度や性質が異なってくるので、勉強法が異なってきます。
なので、どうして大学生にとってTOEICは簡単ではないかを、受験英語と比較しながら解説します。
状況設定・文脈がビジネス向け
リーディングとリスニングの技能でいうと、求められる基本力は大学入学共通テストと大きく変わりません。
むしろ、TOEICには中学英語レベルの問題もあるので、センター試験や英検2級に比べて、簡単な問題も出てきます。
ただし、以前に記事で解説した通り、TOEICはビジネスの場を想定して作成されています。
したがって、語彙や状況設定は大学生だと見慣れないものが出てくるので、別途対策が必要になります。
なので、まずはTOEICに特化した単語帳を購入して、単語を覚えるところからスタートと考えます。
オススメ単語帳は、当サイトでも何度か紹介している『金のフレーズ』です!
もちろん、受験英語や英検と重複する単語も多いのですが、一部はTOEICで頻出の意味も抑える必要があります。
例えば、agenda(協議事項)という言葉を例に挙げましょう。
社会人の方だとカタカナで使われるようになっているので、すぐに意味が出てくるでしょう。
一方で、大学生だとパッと出て来ないかもしれません。
また、departmentという見慣れた単語はいかがでしょう。
大学生なら「学部」という意味で見慣れているかもしれません。
しかし、TOEICの場合は「会社の部署」という意味でてくることが多いです。
このように、社会人独特の文脈と紐付けて英語力を鍛える必要があります。
良い社会勉強になると思って、単語からスタートすることをお勧めします。
同様に、リスニングにおいても、別途対策が必要です。
ビジネス経験のない大学生なら、顧客とのやりとりなど状況設定そのもののイメージが瞬時に掴めないことがあると思います。
なので、スクリプトを日本語で読み込んでTOEICの状況設定の理解を深めることも勉強法としてお勧めします。
発音の出題パターンが広い
日本の受験では、アメリカ英語が標準とされており、こちらに慣れている大学生が多いです。
リーディングだと設問を解く上で大きな違いはないのですが、問題はリスニングです。
大学入学共通テスト英検も一部イギリス英語がリスニングでは出てくるようになりましたが、依然としてアメリカ英語が中心です。
一方で、TOEICではアメリカ英語に慣れていると、若干「癖」のあるように聞こえるイギリス英語やオーストラリア英語が出てくることが特徴的です。
しかも、国によって発音の違う単語(例:scheduleやadvertisement)をわざと使って、受験者を惑わせる問題もあります。
なので、受験英語や英検に比べて、TOEICの方が国籍別の英語を意識して対策する必要があると言えます。
スピードが問われる
TOEICが難しいもう1つの理由は、より高い処理スピードが問われることです。
例えば、リーディングスピード(words per minute = wpm)を比較してみましょう。
まず、大学入学共通テストでは150wpmが必要とされています。
しかし、TOEICでは150だと「ギリギリ」、200あれば「余裕」とされています。
後述しますが、ただ単に速く読めばいいというわけではなく、そもそもスピードが出るようにトレーニングをする必要があります。
また、リスニングにおいても、同様のことが言えます。
大学入学共通テストでは、145〜165wpm程度のスピードでリスニング音源が流されます。
一方で、TOEICは160〜180wpmと言われています。
このように、求められるスピード感が違います。
したがって、受験英語で身につけた英語力だけでは苦労する大学生も多いのではないかと思います。
2. TOEIC対策の重要なポイント
続きまして、リーディングとリスニングの勉強法の基礎を解説します!
大学生の皆さんが通過してきた受験時代よりも精度の高さが問われますので、焦らず進めていきましょう。
TOEICのリーディング
それでは、リーディングの勉強法から解説します。
まずは、現時点のレベルをしっかり判断するところから始めましょう。
そして、後述する「自動化」は何かを理解した上で、対策を考えましょう。
詳しくは、以下の通り解説します!
自己診断
早速ですが、1分で出来る簡単な自己診断からスタートしましょう。
まず、以下の単語を見た瞬間にパッと意味がすぐ出てきますか?
(1) fairly
(2) comparable
(3) abundant
また、以下の文法問題はいかがでしょうか。
(4) Mr. Sato suggested that the company […] more careful when promoting this product overseas.
(A) is
(B) be
(C) was
(D) are
(5) ABC Corporation is a leading company […] product line is diverse.
(A) who
(B) which
(C) that
(D) whose
問題を見た瞬間に、単語の意味や文法の構造が頭の中で浮かんできましたか?
正解出来た方も、日本語で頭をコネコネしながら考え込んで正答に辿り着いていませんか?
※正解は、 (1) かなり、(2) 匹敵する、(3) 豊富な、(4) B、(5) D
リーディングの命=「自動化」
TOEICでは、上記でご紹介したような問題を「考えずに瞬時に解ける」状態を目指してください!
ちなみに、この状態を…
自動化
といいます。
先述したスピードと大きく関連してきます。
TOEICリーディング成功の鍵=「自動化」と言っても過言ではありません。
例えば、上記の問題を見た時に、以下のように考えていませんでしたか。
「fairは公平っていう意味だけど、副詞になったら何か違った気がする…」
「compareは比較するだから、比較できる…?」
「abundantやabandonと似ている…なんだった?」
「the companyは三人称単数で、時制は過去だからwasかな…」
「所有格の関係詞はwhoseだった気がするが、モノでも使えるかな…」
上記のような「曖昧な状態」だと、処理スピードが落ちます。
また、正答にたどり着けたとしても、時間のロスが大きいです。
大学生の皆さんは受験時代には「正答していればOK」としていたかもしれませんが、TOEICは時間が命です。
なので、これらの問題を瞬時に解けるようになるまでは「要復習」に落とし込みます。
※単語の反復勉強法について別記事を書いていますので、そちらを参考にしてください!
TOEICリーディングの対策の基本
さて、上記に基づき、リーディング勉強法の基本方針を、ざっくりと以下の2パターンに分けて考えます。(点数別の対策は後述します。)
まず、単語と文法の自動化がほとんどできていないと判断した場合…
- Part5と6を20分以内・8割程度の正答率が安定して取れない人
- Part7ではなく、Part5-6を通じて基礎固め
参考書の一例は以下の通りです。
この2パートがしっかりできるようになると、リーディングセクションは300-350点ぐらいのスコアは取れるようになります。
次に、単語と文法の自動化がほとんどできていると判断した場合…
- Part5と6を20分以内・8割程度の正答率が安定して取れる人
- Part7の対策中心。精読や音読を行い、スピードも意識。
800-900点の点数を取れるような人でも、Part7を最後まで解くことは難しいと感じます。
なので、相当な読み込みの練習が必要になります。
参考書の一例は以下の通りです。
TOEICのリスニング
続きまして、リスニングの勉強法です!
リーディング同様に、どこで躓いているかをしっかり認識した上で、対策を考えましょう。
詳細は、以下の通り解説します!
リスニング=「聴くだけ」ではない
リスニングといっても、「聴く」という行為以外に脳はたくさんのことを行っています。
具体的にいうと、以下のようなプロセスを経ています。
音声認識
↓
意味処理
↓
短期記憶
まずは、このプロセスを意識し、どこでつまずいているのかを注視しましょう。
例えば、単語単位での聴き取りが限界、もしくは音が繋がって判別できない状態であれば、「音声認識」がうまく出来ていない証拠です。
また、音の認識は何とか出来るが、同時に意味も処理できずに、結局何を言っているかわからない場合は、「意味処理」が出来るようになるトレーニングが必要です。
最後に、ある程度聴きながら意味を咀嚼できていても、聞き終わって情報が整理されていない状態であれば、「短期記憶」の部分がまだ足りていないことが推察されます。(※特にPart3や4のような長い文章で発生する状況です。)
TOEICリスニングの対策の基本
上記で解説したプロセスを軸に、リスニングも以下の2パターンに分けて考えます。
まず、そもそも英語の音が正しく認識できない場合…
- Part1-2が対策の中心になります。
- とにかく正しい音を脳が認識できるようになるために、英語の音を覚えます。
音を覚えるにあたり、シャドーイング・ディクテーションという勉強法が基本になります。
参考書の一例は以下の通りです。
また、多くの学習者が聞き落としがちな「音声変化」も問題を解きながらしっかり押さえましょう。(※Part2で重要なポイントになります。)
参考書の一例は以下の通りです。
音を拾うことだけで脳に負荷が相当かかっているので、この状態で意味も同時に処理しようとしても無茶と考えます。
次に、音は拾えるけど意味処理が苦手、もしくは短期記憶に残らない場合…
- Part3-4が対策の中心になります。
- 聴きながら情報を整理できるようにシャドーイングを続ける。
一点補足ですが、「シャドーイング」とはいえども様々な種類があります。
具体的にいうと、文構造や意味をイメージしながら聴き取りができるようになるためのコンテンツシャドーイングが必要になります。
このコンテンツシャドーイングを繰り返して、情報処理に余裕が生まれてくると、自ずと聞いた後に頭に残る情報量が増えてきます!
3. TOEICスコア別勉強法
最後に、上記で解説した内容をもとに点数別の対策の目安を解説します。
どの段階でも次のステップに行くには時間を要するので、学生時代にしっかり対策を行っておきましょう!
初級者(600点以下)
リーディング
- 単語と文法の基礎をとにかく固めるところからのスタート(「自動化」以前に知識がまだない)
- いきなりTOEICの実践問題形式でやるよりも、単語の日々の学習と文法の勉強をし、体系的な知識をつける
オススメ参考書は以下の通りです。
リスニング
- 英語の基本的な音を理解するところからがスタート。英語の正しい音のインプット・アウトプット経験がほとんどないと思われるので、正しい音を脳に覚えて発声をトライする
- 音の強弱リズムや脱音などの「音声変化」の理解を進める
- 単語学習の際にも、音を使うように心がける
オススメ参考書は以下の通りです。
初〜中級者(600〜730点以下)
リーディング
- Part5-6の演習を中心とした対策を開始し、単語や文法が「自動化」できているかチェックしてみる
- 単語は普段学習している単語帳などで「0.1秒で意味がすぐに出てくるか」、また文法は「他人に自分の言葉で説明できるか」という視点で見て、盲点を洗い出す
オススメ参考書は以下の通りです。
リスニング
- Part2のような短いリスニングの内容を、どれぐらいリピートできるか(シャドーイング)またどれぐらい書き起こせるか(ディクテーション)を試し、どこでつまずいているのかを認識
- Part3-4のような長い文章になると、音は取れるようになっても意味の処理が追いつかない状況がまだ発生するレベルなので、コンテンツシャドーイングにもトライして強化する
オススメ参考書は以下の通りです。
中〜上級者(730点以上)
リーディング
- Part5-6は基本的に演習を中心としながら、処理スピードを意識すると同時に、知識の穴を埋めていく
- Part7は日々「精読→音読」を繰り返す。精読の際には、止まった箇所、読み返した箇所を意識しながら、一度にとらえる「チャンク」を徐々に大きくし、より早く正確に読める状態を目指す。また、リーディングスピードを意識するようにする
オススメ参考書は以下の通りです。
リスニング
- 対策はPart3-4が中心で、コンテンツシャドーイングを軸に精度を高めていていく
- 高得点を取れていても、聞き落としや「何となくわかる」で終わってしまっている可能性もあるので、実際にどれぐらい正確に聞き取れているのか深堀りする習慣をつける
オススメ参考書は以下の通りです。
最後に
いかがでしたか?本日は、大学生の皆さま向けにTOEICの勉強法を解説しました!
受験英語だけでは対策が不十分とも言えるテストなので、対策を練る上で参考になればと思います。
今後も更にTOEIC関連のコンテンツを追加して充実させていきたいと思いますが、皆さんがその他実践されている英語学習法や、記事の内容や無料テンプレートのリクエストがあれば、是非コメントやお問い合わせください。
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